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裏アニメ 音響監督回8(終)

裏アニメの音響監督回 文字起こしの続き8です。

これで最後です。

 

津田健次郎presents 裏アニメ

音響監督特集 ゲスト鶴岡陽太(楽音舎)

収録場所 Studio2010:

劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜を題材に

 

Q:田口尚平アナ(テレビ東京)

T:津田健次郎さん

A:鶴岡陽太さん

 

【 音響監督のイロイロな質問に答えます 】

Q:アニメファンとして、アニメ見ているときに気になることがあって、実際このユーフォニアムでも気になる一場面があったんですよ。ということで、こちらのシーンをご覧いただきたいと思います。

 

映像:京阪電車に乗っている久美子

音声:車内放送で車掌のアナウンス

 

Q:このアナウンス、津田さんですよね。

 

T:……(俯いてる)いやちょっと…自分のを見た直後は…打撃受けるんで…うまく喋れなくなるんす…

Q:(笑)京都府大会の結果発表をした審査員も津田さんですよね?

T:はい…そうです…

Q:そういう役ってアニメでよくあるじゃないですか。

T:兼ね役といわれるものです。

 

 アニメ業界専門用語【兼ね役】

 :1人の声優が複数の役を兼ねること

  役者にとっては対応力が試される

 

Q:兼ね役はどのように決まるんでしょうか。挙手制?

A:挙手ではさすがに(ない)…兼ね役やったからってギャラは増えないんで。増えるんだったら挙手だと大変なことになる(笑)

 

 兼ね役を割り振るのも音響監督の仕事

 

A:こちら(今いる役者)でなんとかなるかな、と思った場合は(兼ね役を振る)。予算の問題もありますし、兼ね役は面白いし。

T:そうですね、いつもとは全然違うし、試されてる感もある。

A:聞けば誰かは明らかだけど、まあそんなこと言うなよ(笑)

T:(苦笑)

A:これはもう伝統芸能みたいなもんだから。

T:そうですね…(笑)基本的にユーフォは、特に初期は男性キャストがほぼほぼ居なかったので。

A:京都府大会のあれはいちばんの老け役だから、

 

 アニメ業界専門用語【老け役】

 :役者が老人に扮すること

  高度な演技力が必要とされる

 

A:(津田さんに演ってもらえて)助かりました。

T:僕しかいないから、これは。

A:男子だからといって、このレベルの老けができるのは(津田さんしかいない)

T:一言くらいの役が後々クローズアップされて、役が膨らんじゃうときもあるんです。

 

 兼ね役に指名されることは声優にとってチャンス

 

Q:群像劇なんかだと?

T:こいつ完全にモブだった、ってやつが

 

 アニメ業界専門用語【モブ mob 】

 :群衆のこと

  端役や無名キャラのことをモブキャラという

 

T:…いきなり性格・ドラマを持ち始めて…みたいなこともあります。

A:次のシーズンになったら本来の役は出番無いけど、兼ね役だけで(収録に)呼ばれるケースも結構あります。

Q:「本人vs.本人」みたいなことはあります?

T:ありますね…

A:うん。

T:最悪のケースです(笑)声優本人と本人が(本役と兼ね役とで)喋る。ありますよね。

A:まあね。そりゃあもう面白がるしかない。

T:うん…

Q:そういうことになっちゃうんですね…

 

 【 視聴者からの質問 】

 

Q:AT-X加入者から鶴岡監督に質問が届いてます。

 

 演奏シーンの音は、どう合わせるの?

 

Q:歌や楽器の演奏シーン、キャラの口や手の動きと合わせるのはとても難しいと思うが、ずれていると作品がチャチなものになってしまう。どうやって合わせているんですか?

 

A:基本的には先に音を作るプレスコという方式で作っているんですが、意外と合わない。動きが合ってても運指が違ったり。たいがい有ります。これは本当に有る。根絶できない。

Q:特にユーフォだと元々吹部だったひと(スタッフ)たちは…

A:(金管楽器の)バルブはどこで音が変わるの?とか、バルブの動き始めは音は変わらないじゃん?とか。

T:なるほどね〜

A:そこはこだわりを持ってやってます、譜面持ち込んで。

Q:譜面が必要なんですか?

A:運指が違うんじゃないの?とか。誰かひとり「音楽ものなんだよ!」って言い続けて。

Q:こだわったからこそ、全国の吹奏楽部のひとが見てるんですね、このユーフォニアムは。

T:とても大事…

A:(見ている)吹奏楽のひと多いですよね。

T:意外と多いんですね。

Q:こだわりが大事ということです。ただ、「根絶」はできません。

 

Q:続いての質問です。

 

 音響監督になるために、やったほうがいいことは?

 

A:日本語のオーソリティ(ある分野での第一人者レベル)でないとまずい。「日本語の問題」は音響監督の専門性のひとつなので。損にはならないというか、最終的には絶対必要なこと。

T:確かに。

A:あとは、多様な価値を見出すための教養。

T:たとえば具体的には?多様な価値とは。

A:たとえば、良い曲を聴いて「これは良い音楽だ」と(認識する)

T:好き嫌いは置いといて、ということですよね。そこは特に大事なところだと思います。

A:好き嫌いで判断してはいけない。

Q:質問者さんも待っているのではなく、何かやってみてはいかがでしょうか。

 

T:僕から質問が二つばかりありまして。

 

 音響監督をやってて、しんどいことは?

 

T:音響監督という職業をやっていくなかで、しんどいこと苦しいことは?

A:精神的にはしんどい。多方面のいろいろな意見をまとめつつ、でも現場では最後に断を下さなきゃいけないので。

T:うーん…

A:いやおまえ、そんな気を遣ってないだろという声も(あるのは知ってるけど)

T:ははは…

A:実演家だったら自分のやることと結果はストレートに結びついてるだろうけど、僕らの場合は、効果は効果さんに、お芝居は役者さんに、音楽は音楽家に作っていただいてる。自分では何も作っていないんですよ。まとめてるだけ。そこに何がしかの後ろめたさはあるなあ…と思って。

T:ええ〜?

Q:ええ〜?

A:みんなに言うだけ言ってて申し訳ない。

T:いやいやいやっ!

 

A:あと、だんだん肉体的な辛さが年とともに…長尺とかもう…

T:「長尺」は長いやつです。2時間とか。これ(劇場版ユーフォ)は長尺。

A:劇場版(の収録)は昔は10時間くらいぶっ通しでやってたけど、いやいやいや…

T:日を分けましょう、二日にしましょう、と。

A:(苦笑しながら頷く)

 

 音響監督の喜び、楽しさは?

 

A:それは端的に「うまくいったとき」だよ。

T:ああ…

A:アフレコだってうまくいったら嬉しいです。

T:ああー、でも…(嬉しそうに見えない)

Q:あまり絶賛したりしないから(分からない)?

T:確かに!

A:良かったよ〜!!とか言えばいい?

T:それは無いですね…鶴岡さんは「良かったよ〜!」みたいな感じではない。

Q:そうなんですか?

 

A:あと、現場で得られるものがあるから。デスクトップ作業だと得られない、ヒューマンファクターの多い部分での喜びは大きい。

T:そうですよね〜

A:人と人で仕事して「なんかうまくいっちゃったね、おい!思ってもみなかったけど、うまくいっちゃったねこれ」ていうのが、いちばん嬉しいです。

T:うん……

Q:ああ……

 

T:ということで、長々といろいろありがとうございました。

A:こちらこそ。

T:引き続き、現場でよろしくお願いします…

A:そうですよね(笑)

T:現場で(笑い)

 

 

 【 取材を終えて 】

 

T:「裏アニメ』は2016年から丸3年、アニメ制作の裏側を皆さんに知っていただけたのではないかと思います。今回の放送で一区切り付けさせていただきます。

Q:残念ですが、「アニメ制作のリアル」を少しでもお届けできたのではないかと断言します。この番組やって何がいちばんよかったかというと、飲み会でアニメーターと話が合うってことです!

T:よく知ってるからね!

A:これは人生にとってプラスでした。視聴者の皆さんにもそう思っていただけたら幸いです。

A:ゆくゆくは充電して戻ってくるわけです。ね、津田さん。

T:はい、また皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。

 


 

 【 感想 】

 

 以上で文字起こし終了です。

ここからは番組を見た私の感想を。

 

 音響監督・音響スタッフの仕事は実に興味深い。

劇伴の入りと出、効果音の有無・音量、セリフ・モノローグとの関連性、劇中音楽、天啓としての音楽。感覚だけで配置するのではなく、それぞれの存在・不在に意味と意図を持って配置する。

 絵と動き、心理描写に心血をそそぐ京アニスタッフ、映像に声で生命を吹き込む声優、音と音楽でキャラに寄り添い、後押をする音響スタッフ。たくさんの人々が作り上げたものがそれぞれ意味を携え、ひとつの物語を作り上げる。

 鶴岡さんが顔出しでここまで仕事内容を詳しく語ってくれたのは初めて見た。事あるごとにタツが語る「鶴岡音響監督」が以前からとても気になっていた。伝え聞くディレクションも「なるほどな〜!」と唸ってしまうものがたくさんあった。これまで知る機会が無かった音響監督・音響スタッフの仕事を垣間見ることができて、本当に良かった。そしてそれを語ってくれたのが鶴岡陽太音響監督であったことがとても嬉しい。

 で、鶴岡音響監督、響け!ユーフォニアム、となれば、触れずにはいられない京都アニメーション(京アニ+Do)。

一度オンエアを見たきりだったユーフォの音響がここまで精緻に設計され、作り上げられたものであることを知って、より深くユーフォを堪能することができたし、音響が入る前の映像…つまり京アニの仕事の深さ・緻密さ・力強さ…京アニが作り出す映像のパワーを、より強く実感した。

 他の制作会社はどうなのか知らないけど、京アニはアフレコで役者の演技を聞いてから映像を修正したり追加することがある。自分が知る例ではTVアニメFree!(1期)11話「激情のオールアウト!」で怜と凛が互いの考えや思いをぶつけ合うシーン。怜(cv.平川大輔)と凛(cv.宮野真守)の言い合いがヒートアップし、それに合わせて完成していた映像を描き直して(追加して?)より熱いシーンになったというエピソード。映像に合わせて役者の演技をクールダウンする方向にディレクションしなかった鶴岡監督の英断も素晴らしいし、何よりこのシーンでの役者演技を重視して、キャラを血の通った生きた人間としてその熱い感情を大切にした京アニの素晴らしい仕事に、Free!ファンとして感謝しかないし、ただただ敬服するばかりだ。京アニの皆さんの作品およびキャラに対する心意気と愛情に、今また深く感じ入っている。

 

 鶴岡さんも音響監督として制作に携わった映画「聲の形」に関する新聞記事に、作品に対する京アニの情熱がよく表れたエピソードがあったので長めの引用で紹介し、この文字起こしを終えようと思う。

 

 「これ以上の手話アニメはもう出てこないのではないか」。同作品で手話を監修した東京都聴覚障害者連盟の越智大輔事務局長(62)はそう話す。手話には1秒に満たない「間」があり、世代でも表現が微妙に変わる。映画化に際し、京アニと共に、こうした細部にこだわり抜いた。

 手話モデルの動画をもとに、京アニが制作したアニメを越智さんらがチェック。8回ほど描き直した場面もある。字幕などの説明がない中で、硝子が将也に「約束」の手話をする場面。「手話がわからない人にも、二人の気持ちが伝わるように、手の速さや角度、動きなどに徹底してこだわった」という。越智さんは「『手話が読み取れるアニメは初めて』と公開後に言われた」と話す。

 越智さんとともに手話をチェックした手話エンターテインメント会社「手話あいらんど」(東京)の南瑠霞代表は「何度描き直しを求めても『できない』と言われたことは一度もなかった。描き直すその一筆一筆に『手話を正確に伝えたい』という情熱があった。(後略)」と話す。

 

 朝日新聞 2019年9月18日付(広島版)

 京アニ「聲の形」私を救ってくれた(長富由希子)より引用

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