CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
LINKS
PROFILE
MAIL
MOBILE
qrcode
OTHERS
COUNTER
ブログパーツUL5
<< 裏アニメ 音響監督回 1 | main | 裏アニメ 音響監督回3 >>
裏アニメ 音響監督回2

裏アニメの音響監督回 文字起こしの続き2です。

 

津田健次郎presents 裏アニメ

音響監督特集 ゲスト鶴岡陽太(楽音舎)

収録場所 Studio2010:

劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜を題材に

 

Q:田口尚平アナ(テレビ東京)

T:津田健次郎さん

A:鶴岡陽太さん

 

【劇伴って何ですか】

 アニメ業界専門用語【劇伴(げきばん)】

 :劇中に流れる伴奏音楽。BGMとも言われる

 

Q:キャスティングの後は音打ち合わせ。これはどういうスタッフで会議を行うのでしょうか。

 

 『劇伴打ち合わせ』って何をするの?

 

A:劇伴に関して言えば、音楽Pと作曲家と監督と私(音響監督)の4人です。

Q:どういうお話をされるんですか?

T:まずシナリオをベースに?

A:最終的には「こういう曲をこれだけ作ってね」というオーダーは出すんですけど、その前提として、今回どういう意味合いで劇伴を作るのかということを話し合います。

T:意味合いというのは?

A:ユーフォの場合は「客観的というか俯瞰的な視点で音楽を作りたい」ということです。それに、ユーフォは吹奏楽のアニメなので、(劇中に流れる吹奏楽と)紛らわしくならないように、明らかに(劇中吹奏楽とは)違うものを。そうした時、ユーフォでは顕著なんだけど、ピアノと弦(楽器)で紡いでいくスタイルを基本として考えていきましょう、というのが具体的なオーダーとして出したことです。

 

T:その後は何を決めていくんですか?

A:ユーフォだと音楽メニューの30数曲を発注します。

T:30数曲というのは多いんですか?

A:普通です。だいたい1クールで30曲くらいです。

Q:オーダーする時に1曲1曲、どういう言葉で伝えるんですか?

A:作品によってすごく変わります。ユーフォの場合は抽象的で、あまり限定しないように。

Q:タイトルで出すんですか?

 

 タイトルでイメージを伝える劇伴発注も

 

A:まずタイトルで出しますね。「青春の痛みって後から考えたら、わりと微笑ましかったりもするよね」とか。

Q:「青春の痛み」で切るんじゃなくて、その後につらつらつらってあるんですね。

A:それが「俯瞰的」ということですね。

T:あああ〜なるほど〜!

Q:ああ…ちょっとわかりました。

A:「青春は大変そうで、そういう辛いときもあるけど、逆に良いときだったりもしたんだよ」っていうような。「余計なお世話」みたいな。

Q:Free!だと違うんですか?

A:Free!は直接的です。Free!はナントカ対決、みたいな。「対決」だって、こいつとこいつじゃ違うぞ、みたいな。段階踏んでって最後に決勝戦に至るような。心情表現もFree!は直接的、ダイレクトに。

T:同じ青春ものでも全然違いますね。ユーフォはどこか醒めているというか、久美子が醒めている部分を持っているから…遙も醒めているんですけど…

 

A:あと、ユーフォのことで言えば1期・2期のテレビシリーズは久美子のモノローグが膨大で。

 

 アニメ業界専門用語【モノローグ】

 :独白(心情を語る)

 

A:久美子はナレーションもあるけど、とにかくモノローグが膨大なんです。モノローグって主役に与えられた特権じゃないですか。「黄前久美子物語」でもあるので。モノローグは映画表現的には難しいんです。

T:その難しさというのは?

A:ラジオドラマは別として、モノローグはその空間に無い音ですからね。それをどのように処理していくか、常に結構悩みます。

T:それは監督さんとも相談するんですか?

A:処理をするのは技術的なことなので僕らの仕事なんですけど、モノローグの意味合いを決めていきます。「これはモノローグじゃなくてナレーションにしますか?」とか。

 

 アニメ業界専門用語【ナレーション】

 :状況を説明する

 

Q:ああ…!それじゃ意味合い変わってきますね。

A:すごい説明的なことだと「これはナレーションじゃないですか?」という話は常にしてます。

T:シナリオにも関わってくる話ですもんね。

A:最終的にフィルムとして仕上げていく時に具体化しなきゃいけない諸問題というのは当然あるし、あと日本語の問題とか、「シナリオはこうなってますけど…」って協議することはよくあります。

T:特に脚本家さんが現場にいらっしゃるときは、語尾なんかはバンバン変えてったり、足したり引いたりしますね。

A:そのへんはやはり(音響監督の)専門領域だと思います。

 

 発注したけど使わない曲はあるの?

 

T:使わない曲が出てきたりするんですか?全部使う?

A:使いますね、全部。音楽のクオリティが高ければ、あまり無駄玉にはならないです。使いどころのないように見える音楽でも、音楽的に優れていれば、使いどころを考えればいいんです。怖いのは「使いものにならない音楽」。

Q:(使いものにならない音楽が)届くことはあるんですか?

A:うーん…(言葉を濁す)ある…んじゃないですか…?これは工夫の範疇を超えている…みたいな…

T:鶴岡さんが駆け出しの頃、発注かけて失敗した!みたいなことはありましたか?発注にも経験値が大きく関わってくるんじゃないかと思うんですが。

A:最初は無駄玉打ってましたよ。無駄玉というか、下手を打ったんだよな…

T:経験を重ねて精度が上がっていく?

A:うん…精度と対応力が。自分のイメージではないが、これは良い曲だよね、って対応力。良い曲をくれればOKです、みたいにだんだんなりますね。

Q:その一方で同じ曲を使い続けることに抵抗があったりするものなんですか?

A:シリーズ物はテーマ曲みたいなものは必ずありますので。例えばユーフォだとM1、これはテーマと曲して使ってます。

T:作品の柱になるような曲ですよね。

A:そういうのに名曲があれば、それは恵まれたシリーズになります。

 

 響け!ユーフォニアム【劇伴ルール】

 :ピアノと弦楽器の曲を基本とする

 

Q:ユーフォだとピアノと弦ということでしたが、使い分けはあるんですか?

A:ピアノはすごくシンプルなところから入ることができるので、久美子のモノローグや心象シーンはピアノから入ることが多いですね。

 

 久美子の心象シーンはピアノから入る

 

A:劇伴は「入り」と「出」が重要だから、どういうふうに入って、どういうふうに終わるか…フェードインとか絶対したくない主義なんで!

 

 アニメ業界専門用語【フェードイン】

 :音が次第に大きくなり聞こえてくること

 

A:音楽のフェードインはしたくない主義なので。

Q:それは何故?

A:やっぱり…変じゃないですか。「じーんとさせる」みたいな…

T:あー。作為が臭う、ということか。

A:フェードインはしたくないけど、ヌルッと入りたいんだ、みたいなときは「頭はピアノで」ってなります。

Q:その話を踏まえて、2期13話にそういうシーンがあるということなので、見てみたいと思います。

 

映像:2期最終話 卒業式。あすかが答辞を読む

劇伴:M1

 

A:今流れてるのがテーマ曲のM1。「決めのシーン」は常にこれ、という曲です。

 

映像:久美子は姿の見えないあすかを探す

劇伴:M1

映像:久美子とあすかが対峙し、久美子が語りかける

劇伴:なし

効果音:環境音

 

T:ここは敢えて「劇伴無し」なんですよね。

A:その後の「入りどころ」がポイントになるので。

 

映像:わずかな沈黙のあと風がひと吹きする

劇伴:なし

効果音:環境音

映像:涙ぐむ久美子

  「あすか先輩ぜったい本心見せてくれなくて」

劇伴:ポロンとこぼれるようなピアノから入る

効果音:無し

 

T:はい、(音楽が)キター!

 

映像:久美子があすかへの思いを吐露する

劇伴:ピアノ

効果音:無し

 

T:久美子の心情ですよね。

A:それとこれはある程度実景は忘れてパーソナルな…久美子の内面を表しているシーンですので。

 

 ピアノ…久美子の心情+内面

 

映像:黙って聞いていたあすかが動き、久美子に近寄る

劇伴:ピアノ+弦

効果音:無し

 

A:ここでストリングス(弦楽器)が入ります。ふたりの情景になります。

 

 ピアノ+弦楽器…ふたりの情景

 

映像:あすかが久美子にノートを渡す

劇伴:ピアノ+弦

効果音:無し

 

T:ピアノと弦でそれを表現する…表現というか後押ししてる感じ?

A:なんかこう、そっと支えてあげたいじゃないですか

T:なるほど、彼女たちを…たしかに。

Q:めちゃめちゃ良いシーンですね…

T:良いシーンだな…見ちゃうな普通に…ちょっと感動しちゃいますね。

 

映像:階段を降りていくあすか。数秒の回想

劇伴:ピアノ+弦

効果音:無し

映像:またね、と言って立ち去るあすか

劇伴:ピアノ+弦↑

効果音:あすかの足音

映像:久美子「…はいっ」

劇伴:ポロン、とピアノで締め

効果音:あすかの足音

 

T:一瞬の回想…ピアノと弦がからんでるんだな…なるほど〜

T:構造的に、あすかが喋りはじめてからストリングス、なんですね。

A:途中で実景の「風がひと吹き」が。

Q:風のひと吹きがあるわけですね。

A:風のひと吹き、あれが結構重要なポイントなんだろうな、と。

T:こだわりのところですよね、きっと。

 

 具体的な音響設計は絵コンテの段階

 

T:台本を読んだ段階で(劇伴の)設計図を決めるんですか?

A:絵コンテが来て、こういう画面構成・流れで、ってなって、具体的にこうしようと考えたときに、どの曲をどういうふうに使うかを初めて具体性を持って設計図に書きます。

 

 スペシャルな曲の使い方

 

A:「具体的にこのシーンで使いたい曲」は当然発注します…30曲のうち5〜6曲かな。そういうスペシャルな曲のスペシャル感を出すために「初出はここ」と決めて、そこまでは使わない、という曲もいくつか置いといて。初出したらあとは使うんですけども。

Q:確かに、アニメ見てると名シーンは絶対音楽と絡んでますもんね。何回も出てくる曲もですけど、特に初めてその曲を聴いたときってのは印象に残りますし。

A:メインテーマとしてずっと出てきてるものは「よし来た!」ってなるし、初出のものが来たときはスペシャル感ありますし。

T:最初にある程度想定を立てて発注し、各話のシナリオでざっくり設計図を書いて、絵コンテが上がってきたら具体的に落とし込んでいくんですか?

A:スケジュールが逼迫するので全般的には出来ないんですが、よりスペシャルの精度を高めるための曲を、終わりの方の絵コンテが来てカットが見えたときに発注するものもあります。それは本当に何曲かなので、「2週間ぐらいでよろしく」というような発注をしたりします。

T:このユーフォのような「ここでストリングスが入ってきて」というような具体的なのは、絵コンテ段階で組み立てていく作業なんですか?

A:そうです、コンテ段階です。

T:シナリオだとここまでは出来ない?

A:シナリオだとシーンは分からないので。ただ、シナリオでセリフの流れを拾えれば劇伴の流れも拾えます。

 

T:そのときに劇伴の流れも含めて、役者のセリフのイメージも決めていくんですか?

A:むしろアフレコしてるときって、逆にある程度、音楽のイメージがあるから…

 

 音楽のイメージで声優に指示する

 

Q:あー、だから(演技の)指示が出せるんだ。

A:(こういう音楽を乗せるから)そんなに演らないで、とか。

T:あんまり心情を乗っけないで、とか?

A:「そんなに演らないで」オーダーは結構あるかもしれない。

T:そっかぁ…なるほど…

Q:今までに「劇伴付きの収録現場」はありましたか?

A:そんな、音楽にどうこうされても(笑)*

T:音楽に乗ってイイ気持ちになられても、ヤバいですよね(笑)いっちばんヤバい役者だ!*

Q:えー、そういうもんなんですか?

T:そりゃ楽しくなっちゃいますよ!

 

*A,Tとも「劇伴付き収録なんて問題外、ありえない」というニュアンス

 

続きます。

 

| TVアニメ Free! | 20:10 | comments(0) | pookmark |
コメント
コメントする