2011.05.04 Wednesday
高村薫が語る“この国と原発事故”
大変ご無沙汰しております・・・
もうここを読んでいただいてる方もいらっしゃらないかとも思いますが
どーしても書いておきたいことがあったので、出てまいりました。
つい3時間ほど前のNHK総合テレビ「ニュースウォッチ9」に
我らが高村薫女王さまが登場なさいました!
福島第一原発事故についてのインタビューです。
わたくし、原発は「もういらねー」と思ってます。
被爆地である我が広島に本社を置く中国電力が
隣の山口県の瀬戸内海側に『上関原発』を作るんだと、
福島原発の事故があっても「それはそれ」で工事を強行しようとしてるし。
たしかにエネルギー問題は重要だけれど、
こんな危険に目をつぶってでも建てなきゃいけないものなのか、
その理由も根拠もはっきりまとめることが出来ずにいましてね。
このインタビューで女王が明快に言葉にしてくださいました。
NW9のサイトに行けば『ピックアップ』というところに
映像自体がアップされてるので視聴可能なんですが、
女王の家臣としてはありがたいお言葉をなんとしてでも
記録しておきたく。
「ピックアップ」を見直しながら文字起こししてみました。
考えてみれば、『神の日』で女王ははっきり述べられてるんですよね。
テロにも戦争にも耐えうるものでなければ
原発は作るべきではない、と。
テロや戦争が日本で起きる可能性は0とは言えないし、
地震や津波が起きる可能性は何倍もある。
女王がテロや戦争で懸念していた原発事故が
地震と津波で起きてしまったことは非常に重い意味があります。
詳しくは下記にて。
ところで女王のお言葉はやはりとても美しくて
「わたくし」「わたくしたち」とおしゃいますのね。
大阪のご自宅にインタビューに行った大越キャスターが
「なにげに」と言いかけて「無意識に」と言い直す映像に
ほくそえんだりしてましたよふふふ。
『神の火』再読しなくては。
あー、積読状態の『新リア王』も読まなくては。
もうここを読んでいただいてる方もいらっしゃらないかとも思いますが
どーしても書いておきたいことがあったので、出てまいりました。
つい3時間ほど前のNHK総合テレビ「ニュースウォッチ9」に
我らが高村薫女王さまが登場なさいました!
福島第一原発事故についてのインタビューです。
わたくし、原発は「もういらねー」と思ってます。
被爆地である我が広島に本社を置く中国電力が
隣の山口県の瀬戸内海側に『上関原発』を作るんだと、
福島原発の事故があっても「それはそれ」で工事を強行しようとしてるし。
たしかにエネルギー問題は重要だけれど、
こんな危険に目をつぶってでも建てなきゃいけないものなのか、
その理由も根拠もはっきりまとめることが出来ずにいましてね。
このインタビューで女王が明快に言葉にしてくださいました。
NW9のサイトに行けば『ピックアップ』というところに
映像自体がアップされてるので視聴可能なんですが、
女王の家臣としてはありがたいお言葉をなんとしてでも
記録しておきたく。
「ピックアップ」を見直しながら文字起こししてみました。
考えてみれば、『神の日』で女王ははっきり述べられてるんですよね。
テロにも戦争にも耐えうるものでなければ
原発は作るべきではない、と。
テロや戦争が日本で起きる可能性は0とは言えないし、
地震や津波が起きる可能性は何倍もある。
女王がテロや戦争で懸念していた原発事故が
地震と津波で起きてしまったことは非常に重い意味があります。
詳しくは下記にて。
ところで女王のお言葉はやはりとても美しくて
「わたくし」「わたくしたち」とおしゃいますのね。
大阪のご自宅にインタビューに行った大越キャスターが
「なにげに」と言いかけて「無意識に」と言い直す映像に
ほくそえんだりしてましたよふふふ。
『神の火』再読しなくては。
あー、積読状態の『新リア王』も読まなくては。
(文字起こし ここから)
_________________________
NHK ニュースウォッチ9
2011年5月3日 インタビュー
『高村薫さんが語る “この国と原発事故”』
http://cgi2.nhk.or.jp/nw9/pickup/index.cgi?date=110503_1
大越):インタビュアー 大越健介NW9キャスター
ナレ):ナレーション
青字):高村薫
大越)一進一退が続く福島第一原発。今回の事故は私たちが原子力にどう向き合うべきかを考える上で大きな分岐点になったともいえそうです。
これまで原発を題材にした小説を発表し、その脆さや原発を巡る社会のひずみといったものを社会に問いかけてきた大阪在住の作家 高村薫さんにインタビューしました。
ナレ)作家の高村薫さん。25年前のチェルノブイリ原発の事故をきっかけに原発の持つ危うさに関心を持ってきました。
チェルノブイリ原発事故の5年後に発表された小説『神の火』。
原発の構造を徹底的に取材し、テロや戦争に対して脆弱だと警鐘を鳴らしました。
しかし今回、恐れていた事態が津波で引き起こされた意味は重いと考えています。
大越)原発がやられたんだ、と知ったとき、どういうことを考えましたか。
自分が生きている間に こういうことが起きるとは、よもや想像していなかったので、この先も日本が国としての形をちゃんと保って存続していけるのかというそれぐらいの瀬戸際に立たされている、それぐらい大きな事故だと思います。
ナレ)なぜ事故は避けられなかったのか。
高村さんは非常用のポンプや電源が屋外に設置され、対策が施されていなかったことに愕然としています。
『想定外』という言葉が使われましたけども、今回の場合にはそもそも想定しなければならないことが想定されていなかったという意味では『人間のやることには限界がある」以前の話で、やはり『問題外の事態』だったと私は思っているんですね。
『これで大丈夫だろうか』という想定をするときに、非常に恣意的に自分たちの都合のいいように作ってきた、という感じがします。
ですからこれは私は『科学技術のモラルの問題』だと思います。
ナレ)更に高村さんが厳しい視線を送っているのは政治です。
原発推進の是非を巡る対立、政治家が客観的データを元に論ずるより先に
原発を政争の具にしてしまったと感じています。
村が二分され賛成反対に分かれて対立するような不幸な歴史がずっと続いていたわけですよね。
その中で 本当の技術的な問題が 結局私たちの誰も理解できないまま、あるいは正しい情報が出ないまま、になってきた。
ナレ)高村さんは2005年に発表した著作「新リア王」の中で原発の誘致に携わった政治家に こう発言させています。
『電源多様化を名目に わが国では代替エネルギーとしての原発増設に拍車がかかった。疾走する原子力事業に対して政治は時どきに正しい舵取りを成し得たのか否かだが、答えは少々心もとなかったと言わざるをえない。』
この日本の原子力政策が行われてきた半世紀というのは55年体制と同時でしたので、原発の問題が常に賛成か反対かに分かれて、それが常にイデオロギーと一緒にされてきた。それが非常に不幸なことで、私たちは消費者あるいは国民としてイデオロギーや政党色を置いて、技術、まさに科学技術として どのような現実的な評価が行われてきたか。それを知りたいんです。
ナレ)そして事故が起きた今こそ判断に必要なデータがあると指摘しています。
『この地震国で原子力発電をするときのコスト』を もう一度冷静に計算し直してみる必要が絶対にあると思います。たとえば耐震化工事にかかる費用、あるいはこういう事故が起きたときの補償や賠償の費用、その上で私たちが それでも原発を使うのか、それこそ私たちの選択にかかっているんだと思います。
ナレ)最終的な選択を迫られるのは私たち自身だという高村さん。
日本のエネルギー政策や暮らしのあり方が問われていると考えています。
私たちが今できるのは 逃れられない現実に耐えて見つめ続けるか、
あるいは目をそらして無かったことにするか、逃げるか、なんですね。
私は、逃げてはならない、と思います。
現実に福島で 生まれ育った土地、仕事も家も子供もある土地を追われて 今日明日にも逃げていかなくてはならない方たちがおられる。それを無かったことにして、時間がたてば元通りになるという根拠はどこにも無い。
大越)これだけのことがあっても 今の豊かな電力供給を原発が担っている以上は 私たちはそれに乗っかって生きていくという道を無意識に選択している人も多いですよね。
これまでと同じように生きるという選択肢は無いんだと思っています。
私自身は 今すぐには無理ですけれども 10年というスパンで考えたときには、日本は(原発から)脱却して次のエネルギー社会へ進んでいくべきだと思っています。
原子力発電という技術を否定するものではありませんけども、
『日本は地震国なので無理だ』と。そういう理由です。
大越)高村さんは「自分は科学技術に対して全面的に信頼を持って育ってきた世代で、科学技術というものを前向きに評価している」ということでした。
そこで この震災を機に次世代のエネルギー社会を作るという夢を掲げて一歩抜け出すことを日本は考えるべきではないかと話していました。
原発を徹底的に取材して警鐘を鳴らしてきた作家の良心がそう語っているように思いました。
__________________
(文字起こしここまで)
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NHK ニュースウォッチ9
2011年5月3日 インタビュー
『高村薫さんが語る “この国と原発事故”』
http://cgi2.nhk.or.jp/nw9/pickup/index.cgi?date=110503_1
大越):インタビュアー 大越健介NW9キャスター
ナレ):ナレーション
青字):高村薫
大越)一進一退が続く福島第一原発。今回の事故は私たちが原子力にどう向き合うべきかを考える上で大きな分岐点になったともいえそうです。
これまで原発を題材にした小説を発表し、その脆さや原発を巡る社会のひずみといったものを社会に問いかけてきた大阪在住の作家 高村薫さんにインタビューしました。
ナレ)作家の高村薫さん。25年前のチェルノブイリ原発の事故をきっかけに原発の持つ危うさに関心を持ってきました。
チェルノブイリ原発事故の5年後に発表された小説『神の火』。
原発の構造を徹底的に取材し、テロや戦争に対して脆弱だと警鐘を鳴らしました。
しかし今回、恐れていた事態が津波で引き起こされた意味は重いと考えています。
大越)原発がやられたんだ、と知ったとき、どういうことを考えましたか。
自分が生きている間に こういうことが起きるとは、よもや想像していなかったので、この先も日本が国としての形をちゃんと保って存続していけるのかというそれぐらいの瀬戸際に立たされている、それぐらい大きな事故だと思います。
ナレ)なぜ事故は避けられなかったのか。
高村さんは非常用のポンプや電源が屋外に設置され、対策が施されていなかったことに愕然としています。
『想定外』という言葉が使われましたけども、今回の場合にはそもそも想定しなければならないことが想定されていなかったという意味では『人間のやることには限界がある」以前の話で、やはり『問題外の事態』だったと私は思っているんですね。
『これで大丈夫だろうか』という想定をするときに、非常に恣意的に自分たちの都合のいいように作ってきた、という感じがします。
ですからこれは私は『科学技術のモラルの問題』だと思います。
ナレ)更に高村さんが厳しい視線を送っているのは政治です。
原発推進の是非を巡る対立、政治家が客観的データを元に論ずるより先に
原発を政争の具にしてしまったと感じています。
村が二分され賛成反対に分かれて対立するような不幸な歴史がずっと続いていたわけですよね。
その中で 本当の技術的な問題が 結局私たちの誰も理解できないまま、あるいは正しい情報が出ないまま、になってきた。
ナレ)高村さんは2005年に発表した著作「新リア王」の中で原発の誘致に携わった政治家に こう発言させています。
『電源多様化を名目に わが国では代替エネルギーとしての原発増設に拍車がかかった。疾走する原子力事業に対して政治は時どきに正しい舵取りを成し得たのか否かだが、答えは少々心もとなかったと言わざるをえない。』
この日本の原子力政策が行われてきた半世紀というのは55年体制と同時でしたので、原発の問題が常に賛成か反対かに分かれて、それが常にイデオロギーと一緒にされてきた。それが非常に不幸なことで、私たちは消費者あるいは国民としてイデオロギーや政党色を置いて、技術、まさに科学技術として どのような現実的な評価が行われてきたか。それを知りたいんです。
ナレ)そして事故が起きた今こそ判断に必要なデータがあると指摘しています。
『この地震国で原子力発電をするときのコスト』を もう一度冷静に計算し直してみる必要が絶対にあると思います。たとえば耐震化工事にかかる費用、あるいはこういう事故が起きたときの補償や賠償の費用、その上で私たちが それでも原発を使うのか、それこそ私たちの選択にかかっているんだと思います。
ナレ)最終的な選択を迫られるのは私たち自身だという高村さん。
日本のエネルギー政策や暮らしのあり方が問われていると考えています。
私たちが今できるのは 逃れられない現実に耐えて見つめ続けるか、
あるいは目をそらして無かったことにするか、逃げるか、なんですね。
私は、逃げてはならない、と思います。
現実に福島で 生まれ育った土地、仕事も家も子供もある土地を追われて 今日明日にも逃げていかなくてはならない方たちがおられる。それを無かったことにして、時間がたてば元通りになるという根拠はどこにも無い。
大越)これだけのことがあっても 今の豊かな電力供給を原発が担っている以上は 私たちはそれに乗っかって生きていくという道を無意識に選択している人も多いですよね。
これまでと同じように生きるという選択肢は無いんだと思っています。
私自身は 今すぐには無理ですけれども 10年というスパンで考えたときには、日本は(原発から)脱却して次のエネルギー社会へ進んでいくべきだと思っています。
原子力発電という技術を否定するものではありませんけども、
『日本は地震国なので無理だ』と。そういう理由です。
大越)高村さんは「自分は科学技術に対して全面的に信頼を持って育ってきた世代で、科学技術というものを前向きに評価している」ということでした。
そこで この震災を機に次世代のエネルギー社会を作るという夢を掲げて一歩抜け出すことを日本は考えるべきではないかと話していました。
原発を徹底的に取材して警鐘を鳴らしてきた作家の良心がそう語っているように思いました。
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(文字起こしここまで)